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アスリートとアスリートを応援する人のための知識データベース

サッカーにかぎらず、スポーツに関して“引退”の概念があるのは日本だけではないかという話を聞きます。プロの選手にはいずれ引退があるわけですが、アマチュアの選手でもそうなってしまうにはさまざまな要因があります。実際、部活動を行なってきた方なら誰しも経験していることでしょう。受験というものも大きな要因ではありますが、サッカー部に関しては高校選手権の出場の可否がひとつの大きな節目になっているのも否めません。
 
高校選手権はサッカーの普及に大きな役目を果たしてきた歴史的な記憶があり、「そこで燃え尽きてしまうからダメだ」と否定できるほど簡単なものではありません。むしろ問題は、それ以外の選択肢を持たない・気づかないケースが多いというところなのでしょう。自身も最近まで高校生だった冨澤選手の主張に、耳を傾けてください。
 
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アスリートナレッジをご覧の皆様初めまして。私、冨澤拓海と申します。「お前は誰だ?」と思う方がほとんどだと思います。ざっと簡単に自己紹介させてください。冨澤拓海(とみざわ・たくみ)、1996年11月25日生の18歳です。身長が低すぎるGKです。「GKはでかいやつがやる」という常識を覆すつもりで日々サッカーをやっています。
 
今は関東サッカーリーグ2部の大成シティFC坂戸でプレーしながら、法政大学に通っています。今年3月にニュージーランド(以降NZ)へサッカーをしに行きまして、近いうちにNZにまた行ってサッカー選手として生活する予定です。なぜNZなのか? 理由は多々ありますが一番大きいのはクラブW杯に出場するという目標があるからです。
 
今は海外にサッカーといえばアジアにチャレンジする選手がたくさんいます。でも僕はうまくない、背も低い、それなら人と違うところから勝負しないといけない、だからNZなんです。ちょっと違う道から自身のサッカー人生にアプローチをかけているため、そんな選手が1人でも増えてくれればと思い今回書かせていただきます。
 
僕が常々言っていることは、サッカーのプレーだけでは勝負しないということです。結局はサッカーの実力次第で契約する、大きな大会に出ることが決まるのは間違いありません。しかしそのチャンスを引き寄せたり過程を作るのは、プレーだけではないと考えています。
 
サッカーとともに生きる生き方を「僕は僕なりに」探し、実践しています。「18歳で何が伝えられる!」とか、「クラブW杯出たら書け!」とか思う方もいられるかもしれませんが、18歳だから書けるリアルなこと、出場前の過程を話すことに意味があると思っております。
 
私は、中学まで千葉のチームにおり高校は神奈川、大学は八王子にあり、所属チームは埼玉と多くのサッカー人との出会いがありました。でも周りを見渡すと高校を卒業した今、大学になっても本気でサッカーを続ける人が僕の周りは少ないです。
 
18歳でサッカープレーヤーを辞める人が多いのはなぜか? 今回は、つい半年前まで高校サッカーをやっていた、リアルな18歳のサッカー事情について分析します。
 
高校サッカーは全国大会に出場するとテレビ中継などされますが、ほとんどの選手は全国には出られずに高校サッカーを終えています。しかし、メディアに出るのは出場した選手たちのみです。そのほとんどの、スポットが当たらない一部として執筆させていただきます。
 
辞めてしまった人としての原因として、大体が3つの意見にまとまりました。「プロになるには大学サッカーをしなければならない」、というのが一般的な考えであること。「サッカーしかやっていない自分を、他のことに目を向けてみたい」と思ったこと。1番多かったのは、「高校サッカーが選手としての集大成と決めていたから」という理由でした。
 
果たして、大学サッカーをしないとサッカー選手にはなれないのか? サッカー以外をするにはサッカーを辞めないといけないのか? 私はそうは思いません。せっかくサッカーを続けてきたなら、サッカーに関わり続けて欲しい! というのが私の見解なのです。
 
サッカーをする環境もたくさんあります。指導者や違う道で実際にプレーした人間が、その選択肢を持たせてあげることが必要だと思います。
 
私は周りの人に恵まれ、高校の夏から社会人チームをコーチに紹介してもらい、その選択肢を知りました。おそらくこの経験がなければ、私はいま地域リーグでプレーしていません。でも大半は社会人チームを知らないまま部活を引退します。そこで選択肢が狭まってしまいます。
  
大学の部活は毎日練習しますが、社会人チームはチームにより試合だけのチームから毎日トレーニングするチームまでそのスタイルは多様です。別にサッカー選手を目指さなくても、本気でサッカーができる環境もたくさんあります。だから自分のサッカーに全力で取り組みつつ、他のことにチャレンジすることも可能なのです。大学サッカー、社会人どちらにもメリット、デメリットがあると思うので、どちらも選択肢を持つことで良い方を選択すれば良いと思います。

話を戻すと一番多かった意見として、「高校サッカーで最後と決めていたから」という意見ですが、これは「高校サッカー選手権で最後」というイメージをテレビや周囲に植え付けられているからだと考えています。そのイメージが変わらない以上、18歳でサッカーを辞める現象が多いのは続くと思います。ずっと真剣にやってきたサッカーを簡単に辞めてしまうのは本当に勿体ない!!
 
近頃、周りでは少しずつですがサッカーをやりたくなった、チームに所属したなど嬉しい話を聞きます。でもせっかくなら私の周りのみではなく、1人でも多くの日本人選手にサッカーを続けてもらいたいのです。決して「高校でサッカーを辞めたからもう二度とできない」というわけではなく、チームによりますが今日にでも入団できるクラブもあります。私の知り合いに高校で一度サッカーを辞め、就職したものの現役復帰し、地域リーグでプレーし今は海外でサッカー選手をしている方もいます。
 
その方もお話を聞いた際、「近頃はJリーグを目指すというチームが増え、海外という選択肢も増え、大学やプロに行かなくてもサッカーはできる環境が増えている」とおっしゃっていました。
 
私自身も法政大学に通いながら地域リーグでプレーし、来年からは半年ずつ休学して海外でプレーし最長8年で卒業しようか、とも考えています。本気で勉強も、サッカーできる環境が今はあると思います。
 
サッカーに終わりはありません。
 
陽に当たらなかっただけで、才能を持って辞めてしまうプレイヤーもたくさんいます。1人でもサッカーを続け、また改めてサッカーを再開する人が増えることを私は望んでいます。また、その選択肢を育成世代の指導者の方々が伝えてくれることを望みます。
 
今日からまたサッカーを始めませんか?
これからもサッカー続けませんか?

<了>