athlete knowledge

アスリートとアスリートを応援する人のための知識データベース

photo by Chris Hunkeler

皆さんがご存知の通り、人間の生命活動は水で支えられています。
その証拠に、成人の身体の60%が水です。

水が果たす役割は基本的に以下の4つに分けるのが普通ですが、ランナーには、
さらに重要な役割が出てきます。それが5番です。

1.身体の保護
2.体温や内部環境の調節
3.栄養の運搬
4.老廃物の排出
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5.エネルギーの貯蓄・産生・代謝

速く走る場合、運動器となる筋肉が真っ先に使うのが、
①最も手近にある「筋肉内に蓄えられたグリコーゲン」です。
※グリコーゲンはブドウ糖(グルコース)が多数結合されたもの
次に、②「血液中のブドウ糖(グルコース)あるいは脂肪」を使い、
最後に、③「脂肪細胞に蓄積された中性脂肪」を使います。

最後の中性脂肪が動員されるような糖質エネルギー源が不足するレベルでは、到底速く走ることはできません。軽度の好気的運動(=有酸素運動)の場合は、①と②に順番はなく、同時に使われますが。

マラソンの場合、筋肉と肝臓に貯蔵されているグリコーゲンと体内にある他のエネルギー源を併せても、せいぜい35キロ付近までしか持たないのが普通です。マラソン前に、苦しいグリコーゲンローディングをするのは、その距離を引き伸ばそうとするためです。グリコーゲンローディング法で増えるのは、主に筋肉のグリコーゲンで肝臓のグリコーゲン貯蔵量はほとんど増えません。

筋グリコーゲンは、「多く使って⇔多く蓄えて」を繰り返すことで貯蔵量は増えていきます。そのために必要なのは、『使ったら補充する』という概念。高負荷の走トレーニングや速めのペースで長い距離を走った後は、速やかに糖質(炭水化物)を摂取する必要があります。

通常の食事量では、容量が減ったグリコーゲンが満たされることは望めませんから、練習後に時間を置かずに、まずは、糖質を摂取することを心がけてほしいと思います。(レースの前・中・後でスポーツドリンクを飲むことを奨められるのは、そういった理由もあります)。そして、練習後の食事で、消費したグリコーゲンを再び満杯にしておくことで、高まったグリコーゲン最大貯蔵量を低下させることなく維持することができます。

Master

そこで重要なのが、『糖質の速やかな補充』。その観点で言うと、水分の吸収率と糖質の種類がポイントとなります。

水は腸管で吸収されますが、その速度や量を高めるためには、ナトリウム(塩分)が一役買います。小腸細胞内でナトリウムの能動輸送に伴い水も吸収される仕組みになっているからです。そういったことから、日本体育協会では、水に0.1~0.2%の塩分が含まれることを推奨しています。ナトリウムに換算すると、100ml当たり40~80mgのナトリウムが含まれていることが望ましいと言えます。

もう一つの理由に、糖質(グルコース)の吸収は、『NA+ブドウ糖共同輸送体(SGLT1)』により、ナトリウムの吸収と共役して行われ、水も同時に吸収されるという特徴があります。
 

Master

これら(ナトリウムとグルコース)が推奨される配合で含まれるスポーツドリンクを飲むことが効率の良い練習後の水分摂取法と言って間違いなさそうです。

注意してほしいのは、同じ糖質でも果糖(フルクトース)。果糖もグルコース代謝(解糖)に含まれますが、インスリン非依存性に代謝されるために、輸送体の数が少ないこと。つまり、「果糖の吸収速度は遅い」ということです。

果糖主体のスポーツドリンクは、糖質も水も吸収率が低いと思ってください。ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の両方含まれていることが、吸収率という点では理想的です。ちなみに砂糖でも同様の効果を期待できます。砂糖はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)からできています。
 

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そういったことを考慮して、市販されているスポーツドリンクの含有量を調べてみたところ、ポカリスエットが群を抜いています。理由は、適正なナトリウム量、砂糖、ブドウ糖、果糖がバランス良く含まれているからです。医薬品メーカーの研究開発から作られているのもうなずけます。

みずみずしい筋肉(良好な筋肉組織内環境)を常に保つことができるかで、スポーツ選手のコンディションは良くも悪くも変動します。つまりは、良い練習ができるかどうかにも関わってくるわけです。ですから、「練習後の速やかな水分と糖質の補充」ということを心がけることで、結果的に、パフォーマンスを高めることにも繋がります。食事と同様、スポーツドリンク選びもとても重要なのです。