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《筋肉の自動反射とは》


人は、動きや姿勢を保つ為に筋肉が自動で働き、バランスを崩さないように反応し活動します。
 
これには前回の「筋紡錘」などの受容器によってその微妙なズレを察知し、脳に伝達し、脳が各筋肉などの組織に指令を出して微調整をします。
 
この自動反射は、筋肉の活動(Muscle recruitment)の感受性に大きく影響を受けます。


例えば、歩行にて右足が前、左足が後ろという場面を考えて頂きたい。
 
体重移動が右足に移った瞬間、筋紡錘が動きのズレを感知し、反対側の多裂筋が活動し、硬くなり始めます。
そして左足が地面から離れる瞬間に、多裂筋と共に背中の側部の筋肉たちも収縮し硬くなります。

逆に、左足を前に振り、地面に付いた瞬間にそれらの筋肉は収縮を最小限にし、リラックス状態になります。

毎回歩行の際にはこのような自動反応が無意識下で行っています。

そしてそれらの収縮活動(硬さ)は、適切な場面で適切な分だけ行われなければいけない
「タイミング」というものが大事になってきます。

《正しいタイミングとは?》

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なぜ、そのタイミングで自動反射を行う必要があるのでしょうか?
 
先ほどの例ですと、
1. 左足が地面を離れる前(右足に体重が乗っている状態)
左足を前に振ることが出来るようにするために骨盤を挙上させるために多裂筋が収縮し、その準備をする。
 
2. 左足が地面から離れたとき
多裂筋、その他の筋肉の収縮で、挙上した骨盤を安定させることで、効率良く足が前に振れる。また、他への余計な負担を減らすことが出来る。
 
そのようにして、効率の良い機能的な歩行が行われます。
 
この自動反射の「タイミング」が効率化を生みます。
 
逆に言えば、このタイミングがズレるとパフォーマンスに悪影響を及ぼし、他への負担が増すことで怪我にも繋がります。

つまり正しいタイミングとは、この場合、「後方足のかかとが上がり母指球に体重が移動する時に多裂筋が収縮を始める」になります。

この多裂筋のMuscle recruitment感受性が弱い人は、このタイミングではなく、前方足に体重が乗るまで収縮が起らない(硬くならない)。

この『タイミングの遅れ』の現象は、腰痛のある方によく見られるものです。
 

《タイミングからスポーツパフォーマンスを考える》

Original


この観点からパフォーマンスを考えると、どの関節でも動きや姿勢を保つときには、自動反射が起こり『正しいタイミング』で行われていないと効率のよい効果的なパフォーマンスというものが出ないのは想像が出来るかと思います。
 
☆★これはその筋肉が弱いとか筋肉量が足りないということではありません★☆
 
ウェイトトレーニングというと筋肉を大きくするだけ、持久力をつけるだけ、パワーを付けるだけというイメージがあるかもしれません。
 
人間のパフォーマンスとは、それだけでは発揮できないものです。
それを基礎とし、タイミングを考えてトレーニングも構築していくとパフォーマンス向上に繋がります。
 
もう一度、トレーニングを考え直してみませんか?




参考文献:
Comerford, & Mottram., 2013 “Kinetic control” Churchill Livingstone.
長島、解剖学アトラスⅠ P.75 文光堂