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2種類のモチベーションをコントロールする

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​モチベーションには2種類あるとお話しました。自らの内側から湧き出る挑戦意欲「内発的モチベーション」に対し、もう1つは外からの刺激によって高まる「外発的モチベーション」です。それは例えば、勝利によって得られる優越感かもしれませんし、地位や名誉、プロ選手であれば報酬なども含まれます。「格下の相手に6~7割の力で勝った」チームの例を挙げたときに、勝利だけを目標にするのでは成長につながらない、と書きましたが、どういうときに外発的モチベーションは有効なのでしょうか。指導者は、時と場合によって2つのモチベーションを使い分けることで、選手を巧みにコントロールすることができるかもしれません。

有名になりたいのか、記録を出したいのか

では、こんな例はどうでしょう。2人の陸上選手がいます。仮にAくん、Bくんとしましょう。Aくんは、有名になりたくて陸上をやってきました。「日本記録を出せば有名になれる!」と思って練習を続けた結果、日本記録を塗り替えることができました。そのためマスコミは、Aくんに注目し、Aくんは有名になることができました。これに満足したAくんは引退を考えるようになりました。一方で、Bくんは「10 秒台で走りたい」と地道に練習を続けてきました。練習の成果が表れ、Bくんはついに11 秒を切り、10秒台で100 mを走りました。10 秒台で走ることを最大の目標としてきたBくんは、この結果に満足し、トレーニングに身が入らなくなってしまいました。するとBくんに、監督は「あとコンマ数秒縮められたら、県内でトップになれる。全国大会に出られるぞ」と外発的なモチベーションを与えると、Bくんは「全国大会」という新たな目標に向け、また頑張り始めることができました。同時に監督はAくんに対しても、「お前は才能がある。フォーム改善始めてわずか半年で日本記録を出せたのだから、もっと自分の可能性を信じたほうがいいよ」と声をかけました。有名になったことで満足していたAくんでしたが、自分の可能性、という言葉に惹かれ、さらにタイム短縮のための追求を続けるようになりました。
これは作り話ではありますが、内発的モチベーションと外発的モチベーションを巧みにコントロールした例だと思ってください。まず「有名になりたい」と思っていたAくんは、外発的モチベーションから始まり、「自分の可能性」と向き合うことで、内発的モチベーションが高まりました。反対にBくんは、「10 秒台で走りたい」と自分への挑戦を掲げる内発的モチベーションからスタートし、「もっと速くなれば全国大会に出られるかもしれない」という外発的モチベーションが、更なる刺激となりました。
 Aくん、Bくんに適切な言葉がけをした監督のように、指導者の言葉がけ次第で、内発的モチベーションを高めることも、外発的モチベーションを高めることもできるはずです。