athlete knowledge

アスリートとアスリートを応援する人のための知識データベース

1 “チーム”の定義

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​本書のテーマである「チームビルディング」について触れる前に、「チームとは何か」を整理しましょう。「チーム」という言葉については、専門家が各々の言葉で定義づけしていますが、私は次のように定義しています。チームとは、「目標に向かって多くのものを共有しながら努力を続ける固定の集団」です。本書の2章以降で紹介するプログラムは、少人数制で行う活動が多いため、その少人数の集団をチームと区別する上で「グループ」と呼んでいくこととしますが、それは集団規模の違いに過ぎません。今後たびたび出てくる「グループ」という言葉は、チームとなんら本質は変わらないものだと理解していただければ、と思います。

2 “チームワーク”とは何か

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​では、次にチームワークとはどういうものなのでしょうか。目標達成のため、個々が持っている能力をいかに人と調和させるかがチームワークだ、とイメージする方が多いと思います。この答えは決して間違いではありません。ただし、これだけでは50 点です。足りない50 点の回答は「チームが掲げている目標を達成するために個人が努力して、できることを増やすこと」です。チームワークというと、どうしても「連携」や「組織力」といったイメージが先行しますが、現状の能力をうまく組み合わせることだけを考えるのではなく、個の能力を高めながらも同時にそれをいかに機能させるかを考えなければいけません。私は以前、「サッカーのチームワーク向上を目指す上での理想の選手像」に関する研究をしました。その研究には、全国大会出場レベルの高校のサッカー部監督とJリーグユースチームの監督、合計15 名の指導者にご協力いただきました。その結果、15 名の監督の価値観として、チームワーク向上のためには、55項目を兼ね備えている選手が理想的である、という結果が得られました。選手一人ひとりがこれらを兼ね備えることで、チームワークが向上する可能性が高まる、という目安になると思います。参考にしてみてください。

3 チームビルディングとは

​では、本書のテーマである「チームビルディング」とはいったい何なのでしょうか。読んで字のごとく、「チームを組み立てる、築き上げる」という意味です。目標を達成するために、メンバー全員の技術面や精神面の連携を高めるさまざまな手法のことだと思ってください。それを本書では、5つのテーマに分けて解説していきます。自分に合わない選手を切り捨てるのは簡単です。しかし、それは指導放棄と言ってもいいでしょう。スポーツが文化になるためには、スポーツを続けてきてよかったな、と思う人を日本中に増やすことが大切です。人格形成上の大切な時期、育成年代で競技志向になりすぎてしまうと、スポーツを嫌いになってしまう子どもも出てくると思います。私もこれまでをふりかえれば、そんな指導をしてしまったかな、と反省すべきこともあります。スポーツをしてきた人はみな魅力的な人ばかりだ、うちの子にもスポーツをやらせたい、そんな親が増えるためにも、スポーツを通じて集団活動スキルを高め、どんな社会に出ても活躍できる人材を育てるのも指導者の役目です。日本サッカー協会はその考えを「指導者は子どもたちの未来に触れている」という言葉で表しています。