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《筋紡錘の3つ目の役割》

筋肉の硬さのお話しをする前に知っておかないといけない器官があります。
それは『筋紡錘』です。

筋紡錘とは、骨格筋の筋繊維と平行に配置された受容器で、神経機能と運動機能を持っています。
それは、2つの変化に反応します。
◉ 筋肉の長さの変化
◉ 筋肉の力の変化
 
この変化が求心性神経を通って中枢神経に伝わり、
『関節の位置がどこなのか』『どの位置に動かしているのか』『どのくらいの早さで動かしているのか』『どのくらいの力が使われているのか』などを認識します。
 
更に、もう一つ重要な役割があります。
それは、☆筋肉の硬さの調整や抑制☆に関与しているということです。


《筋肉の硬さは悪いやつ?》
 
硬さというとネガティブなイメージを持たれる方が多いことでしょう。
筋の硬さは、“動きの制限”や“機能の低下”を引き起こすと考えられているからだと思います。
 
その一方で、生体力学的には☆
『筋力やサポートを与えるためのもの』と説明されています。
つまり、硬さ(Stiffness)とは、『変位力への抵抗としての受動的また能動的筋緊張』のことです。


《筋肉の硬さを成す2つの構成》
 
筋の硬さは2つから構成されています。
1.         内在筋の硬さ(intrinsic muscle stiffness)
2.         反射による硬さ(reflex mediated stiffness)
 
■  内在筋の硬さ
これは、筋肉の粘弾性性質とアクチン-ミオシン・クロスブリッジに依存され、筋肥大やストレングストレーニングによって影響を受けます。これによる硬さは、比較的能動的で動きに対するダイナミックな反応を生みません。
 
■  反射による硬さ
これは、α運動ニューロンプールの興奮性によって決まり、筋の反射的自動起動を引き起こします。これは姿勢の変位に対してダイナミックな反応を起こします。
 
例えば、立位でお辞儀をした時には、屈曲方向に負荷がかかるので、脊椎のバランスを取る為に「自然」に背中の後背部の筋肉が活動します。
その時には、筋肉は収縮するので『硬く』なります。
 


《硬さを見る観点》

Original

つまり筋の硬さを見るときには、何を見るかによって変わります。
『内在筋の硬さ』は、それだけではダイナミックな動きを作らず運動制限を起こす可能性があります。
しかし、普段生活や運動する際には、『反射による硬さ』は必要になります。
 
どの筋肉をどのようにトレーニングするかにも関わってくると思います。
筋パワーなどにはベースと成る筋肥大メニューも必要かと思いますが、それで終わってしまうと筋肉の硬さ(悪い方の)だけが残ってしまい、パフォーマンスを下げる可能性があります。更にその筋肉を反射により発揮できる能力を身につけなければいけません。つまり必要なときに“ぐっ”と筋肉が硬くなることが必要です。それが出来ないと『不制御動作』を起こすことになるのです。
 
ウェイトトレーニングは必要と私も感じますが、それを間違った方法で行うとパフォーマンス低下を起こすこととなります。ただ単に筋肉を大きく、硬くすればいいのではないことが、上記のことからもわかるかと思います。
 
「反射による硬さ」を必要なときに起こす、このタイミングが大事です。



参考文献:
Johansson, H., Sjolander, P., 1991. Receptors in the knee joint ligaments and their role in the biomechanics of the joint.
Tortora, G., Principles of anatomy and physiology, 1996. HarperCollins.