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《筋肉の機能》

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筋の機能を考える時には、次の4つを考慮する必要があります。
 
1. 解剖的ロケーションと構造
2. バイオメカニクス・ポテンシャル(生体力学的可能性)
3. 神経生理学
4. 病理による特徴の変位と変化

 
私たちトレーナーが学校で習うことは、ほぼ1のみであることが多いです。

その一例として「大腰筋」について挙げてみたいと思います。

少し前ですが、トレーニングの世界では「腸腰筋」という筋肉が注目されました。
腸腰筋とは、腸骨筋と大腰筋、小腰筋を合わせた総称です。
その中の大腰筋です。
 
《大腰筋のこと勘違いしていませんか?》
 
その解剖的ロケーションと構造だけに目がいってしまうと間違った知識として記憶してしまうことがあります。
 
大腰筋、その機能は、“股関節の屈曲”と習うかと思います。
 
この筋肉は、羽状筋であり、線維は斜めに走っています。
(起始・停止は教科書を参考にしてください。)
 
実は、この筋肉、収縮できる距離は約2.25cmのみです。
 
つまり、股関節を屈曲できるほどの距離と力を発揮できません。
 
ただ、この筋膜の後面部は、骨盤の前縁に付着しており、これが骨盤の後傾を生みます。
 
股関節を屈曲する際には、骨盤の後傾も同時に起こりますが、それを助けているのが大腰筋。
後傾することで、起始・停止を近づけたった2.25cmでも股関節屈曲の手助けに十分なり、大腿四頭筋などと共に股関節の屈曲します。

この大腰筋は、股関節屈曲のための協同筋であり、その筋肉自体が屈曲を起こしているわけではありません!

《一面性へのアプローチ危険》

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大腰筋は、一例ですが、このように一つのことだけを理解し、それだけにアプローチしてもうまく行かない場合が多いですし、効率も悪い。これは治療でもトレーニングでも言えることだと思います。
 
しっかり筋の機能の多面性を理解し、それぞれにアプローチをしなくてはいけません。
 
その為には、しっかりした基礎知識が必要です。基礎から理解し、その多面的なアプローチを続けること。それがパフォーマンス向上のトレーニングにもつながります!
 
筋肉って奥が深いですね。
 


参考文献:
Comerford, & Mottram., 2013 “Kinetic control” Churchill Livingstone.
Gibbons, S., 2007. Clinical anatomy and function of psoas major and deep sacral gluteus maximus.
長島 解剖学アトラスⅠ P.95 文光堂