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振り逃げが成立する条件とは?

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 三振してガックリ、しかし捕手はボールをポロッ。慌てて一塁へと走り出すなんて経験はないだろうか?
さらに加えると、ベンチからの「走れ!」の声で、一塁へ駆け出してみたものの、審判に「ワンアウトだから振り逃げにならないよ」なんて言われたことがあるかもしれない。
 振り逃げは知っているようで、案外知られていないルールのひとつだろう。
 どういう条件で成立するのかたずねられても、なかなかスラスラと正解を言える人は少ないのではないか。プロ野球や高校野球でも、振り逃げのルールを勘違いして思わぬ大量失点に結びついた例がある。
 ワイルドピッチ、パスボールの頻度が高い、草野球や少年野球のプレーヤーは一度おさらいして、頭に入れておくとイザというときにトクするかもしれない。

振らなくても振り逃げできる

 意外に知られていないが、「振り逃げ」とは言うものの、空振り三振だけが、振りに逃げになるわけではない。
ルールブックには次のように書いてある。

6・09 次の場合、打者は走者となる。
(b) (1)走者が一塁にいないとき、(2)走者が一塁にいても二死のとき、捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕えなかった場合。
【原注】 第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者が、気がつかずに、一塁に向かおうとしなかった場合、その打者は“ホームプレートを囲む土の部分”を出たらただちにアウトが宣告される。

 空振りだろうが、見逃しだろうが、以上のケースで三振した打者はゴロを打った場合と同じように走者になるというわけだ。
 一塁に走者がいるときに振り逃げが成立しないのは、捕手がわざと正しい捕球をしないで、二塁、一塁と転送して併殺を狙うのを防ぐためだ。しかし併殺のない二死の場合はどんな状況でも振り逃げが成立する。だから二死満塁のときは捕手が取り損ねた投球を拾って、三塁走者が生還する前に本塁を踏めばフォースプレイでアウト。下手にあせって一塁へ投げて、悪送球してしまうよりも、安全で確実にアウトをとることができる。
 振り逃げの条件が満たされていても、三振した打者が捕手の後逸を気づかずに、“ホームプレートを囲む土の部分”を出てしまうと自動的にアウトになってしまう。“ホームプレートを囲む土の部分”とは、ホームベースを囲む直径26フィート(7メートル92.5)の円=ダートサークルのこと。
 内野に芝が引かれている球場以外だと、このダートサークルはなく審判の判断によることになる。近年はルール徹底のために、甲子園大会などでもダートサークルが引かれている。学校の校庭を会場にするような場合は省略しがちだが、なるべく引くようにしたい。

ワンバウンドでも振り逃げ成立!

 ルールにある「捕手が第3ストライクと宣告された投球を捕えなかった場合」にも細い条件がある。
 一番わかりやすいのは、捕手のパスボールだろう。ルールブックでは、パスボール以外にも次のケースを「正規に捕球したものと見なさず、振り逃げの条件としている。

・投球が地面に触れた
・投球が捕手のユニフォームまたは用具で止まった
・投球が審判に触れてはね返った
※ルールブックの6・05(b)より

 したがって地面スレスレのワンバウンドの投球などは、ミットにボールが収まっても振り逃げができるということだ。
 これに関しては、かつて高校野球の地方大会で大量点に結びついたことがある。
 二死一・三塁で、打者が2-2からワンバウンドのボールをハーフスイング。一塁塁審がスイングと判定したため、守備側のチームはベンチに引き上げた。しかし攻撃側の打者はダートサークルを出る寸前に一塁へと走り出し、ダイヤモンドを一周。「スリーラン」となる一挙に3点を追加した。
 このケースは守備側がハーフスイングの判定に気をとられていたことに加え、投球がワンバウンドだったがミットに収まっていたため勘違いしてしまったとされる。
 上級者でも勘違いしてしまう、振り逃げのルール。パスボール以外にも成立する振り逃げがある、そう頭に入れておくだけでも、不要な失点を防いだり、ラッキーな出塁につながるかも知れない。