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「2戦必勝論」とは?

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 今年の日本シリーズは4勝1敗でソフトバンクが制した。星取りは ●○○○○ だった。
 短期決戦はいかに「流れ」をつくるかが勝利のポイントと言われるが、今回は第2戦の武田翔太の好投が「流れ」を作ったとされる。7回3安打、初戦にあたっていたゴメス、マートンを封じ、阪神打線を寝かせたまま(シリーズ打率.187)にしたというわけだ。
 日本シリーズには「2戦必勝論」と称される戦い方がある。初戦は落としても2戦をとれば勝てる、というもので、今回はまさにこの「2戦必勝論」が当てはまったシリーズということになる。

2戦をとったときのシリーズ勝率は?

 「2戦必勝論」の提唱者は三原脩とも川上哲治とも、近年では西武黄金時代の監督、森祇晶ともいわれている。
 単純に考えても初戦をとった上で、2戦をとれば、勝利は大きく近づくし、初戦負けていれば、2戦はなにがなんでも勝たねばならないわけで、「2戦必勝論」はどう転んでも当然といえる。

 では実際に2戦をとるとどのくらいの確率で日本一になっているのだろうか?
 過去の星取りを調べてみると.630(65回中41回、引き分け除く)だった。
 ちなみに初戦は.615(同40回)なので、確かに2戦をとったほうが日本一になる確率は高いが、その差はわずか。3戦は.646(同42回)、4戦も.600(同39回)で、それほど変わらないので、7戦4戦先勝制の短期決戦において、確実に行われる4戦までの、シリーズ勝利チームの各試合の勝率とはこの程度に落ち着くということなのかもしれない。

意外に勝ててない「論者」森

「2戦必勝論」の監督たちの2戦の勝率は次の通り。

    出場 日本一 2戦勝敗 2戦勝敗(日本一時) 2戦勝敗(シリーズ敗戦時)
三原 5回   4回  3勝2敗 3勝1敗         0勝1敗
川上 11回    11回  3勝2敗 3勝1敗
森  8回   6回   3勝5敗 3勝3敗         0勝2敗

 川上が目立って勝率が高いが、これは日本一になった回数が多いからとも言えるし、「論」から導き出せば、2戦を勝っていた日本一になっているともいえる。
 三原、森、特に森は2つ負け越している。しかも2戦通算5敗は、鶴岡一人の通算6敗に次ぐ多さ、2戦を落としながらも日本一になった回数が3度というのは最多で、むしろ「2戦必敗論」唱えていても不思議でないくらいだ。

 かように「2戦必勝論」の数字的な裏づけはあまりありそうにはない。
 彼らが「論者」といわれるのは、三原は初戦にエースを温存し相手の様子を伺い、2戦目にエースを立てたという逸話があることや、川上は11度のシリーズで初戦、2戦と連敗をしない、即ち初戦を落としても2戦に勝って必ずタイに持ち込んだことなどが、あるのだろう。森が2戦の結果がよくないにも関わらず「論者」と称されるのは、V9川上野球の継承者だったからかもしれない。